ご注文番号:23309
脇差:白鞘入り(特別保存刀剣)(委託品)
銘: 肥州出羽大掾行広
以阿蘭陀鍛作之
当社では刀工の出来によって最上作、上々作、上作、普通作を記載しております。
本作の出来は上々作にランクされる作品です。
研磨済み。
鎺: 金着せ二重。
刃長: 53.0センチ。
反り: 0.9センチ
目釘穴: 2個。
元幅: 3.12センチ。
先幅: 2.29センチ。
重ね: 0.68センチ。
刀剣重量: 550グラム。
時代: 江戸時代 寛文の頃。
体配: 身幅が広く、重ね厚く、切先が大きく伸びた、体配の良い作品で、帽子が大きく伸びた形状をしています。
地鉄: 小板目肌が良く練られ、地沸も良く練られた精良な肥前肌、つまり小糠肌となります。
刃紋: 正広によく似た作品で、具の目乱れに積乱雲を見る風情があり、足良く入り、帽子がのたれて追い口が深く、先が尖り心に返りが深く、鎬地に焼きが長く入ります。
特徴: 初代正広の弟である九郎兵衛は、慶安3年にオランダ鉄を学び、その時32歳であり、正保5年に出羽大掾の地位を受け継ぎました。寛文3年には出羽守に任命され、天和3年5月に亡くなりました。享年は66歳です。作品は正広に似ていますが、確かに青空に浮かぶ積乱雲とはやや異なり、刃中に金筋が少なく、帽子は乱れ込んだ激しい出来で、反りが深い作品は正広には存在しません。
葵美術より一言: 阿蘭陀鍛を学び多くの作品を製作している刀工であり、本作は帽子の刃紋が大きく異なり、覇気のある作品です。
時代背景: 肥前刀は独特な優れた地鉄を使用しており、鍋島藩がこの肥前刀を他国に漏らさないように守っていた可能性もあります。そのため、肥前の刀の地金は他国とはかなり異なり、江戸時代末期でも肥前刀は連綿と繋がり、その製作方法は難しかったのです。出来の優れた肥州出羽大掾行広は、和蘭鉄を使った作品で、行広自身の自信に満ちた作品と言えます。
特別保存刀剣鑑定書
葵美術評価鑑定書 全身押し形 鶴田文佳