ご注文番号:23378
脇差:白鞘入り(特別保存刀剣)
銘: 伯耆守朝臣正幸
寛政六年八月日
新新刀: 上々作:薩摩
当社では刀工の出来によって最上作、上々作、上作、普通作を記載しております。本作の出来は上々作にランクされる作品です。
研磨済み
鎺: 銀一重
刃長: 56.2センチ
反り: 1.4センチ
目釘穴: 1個
元幅: 3.37センチ
先幅: 2.33センチ
重ね: 0.68センチ
刀剣重量: 620グラム
時代: 江戸時代 寛政6年
体配: 身幅が広く重ね厚く反り適度につき鋒ののびた大敗の良い作品です。
地鉄: 小板目肌良く詰んで地景が入り綺麗な地鉄黒味のある地金となる。
刃紋: 沸出来。匂口の深い呉の目乱れとなり帽子、匂い口が深い丸みのある波紋を焼き上げて返りが深い。
特徴: 二代正良の子として亨保十八年(1733)に生まれ、宮原正近の門で学び、薩摩藩工として活躍した新々刀前期の薩摩を代表する刀工の一人である。「正良」は初銘であり、寛政元年(1789)に伯耆守を受領した際に、銘を「伯耆守朝臣正幸」と改め、正幸として知られる。志津風相州伝の作風が多く、刃中には「芋蔓」と呼ばれる独特な線が現れる。文政二年(1819)に当時としても高齢の八十七歳で没するまで作刀を続けた。刀剣鍛練の著書をしるし、刀工達を教育したことでは、江戸の水心子正秀と共に並び称される。本作は、正幸が63歳になった時の作品で出来から一見南北朝期の志津を思わせる。刃中の働き盛んで、煙る様な匂口は、薩摩刀の独壇場である。新々刀伯耆守朝臣正幸は元平と共に薩摩刀の両翼と言われ、数多くの名品を制作する。共に87歳と83歳迄生き抜き天寿を全うした。作風も同様で荒錵の付いた荒々しい作品が多く、志津風の作品が多く愛刀家の好まれる作品と言えます。本作は激しく地景が働き刃中には砂流、金筋、湯走が入り薩摩刀の神髄を良く表しております。
葵美術より一言: 本作の正幸は元平とともに薩摩の両翼となる刀工で、どちらも茎尻が茎の線から少しはみ出した部分に線がついております。試験では真ん中に線がついている品物は偽名として見てよく、また元平には茎尻に後部に1本から2本の筋が入っているのを時折見かけます。これは恐らく偽名作りをやめさせる為だったのかもしれません。また茎は急細りとなっております。これも偽名を防ぐためだったのかもしれません。出来の良い作品ですのでおすすめいたします。
特別保存刀剣鑑定書
葵美術評価鑑定書: 全身押し形 鶴田文佳
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